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最初の仕事は、セイノー体操という儀式

西濃運輸に入社してから3ヶ月間の研修を終えた。7月1日付けで配属された先は、岐阜県大垣市にある本社の中。所属先は、労務部労務課人事関係賃金計算の仕事をする部署だった。

研修中に希望を聞く機会を与えられて、研修してきた結果から考えたのは、人事労務関係の部署。ぜひ働きたいと希望したことが見事に通った。嬉しかった反面、がっかりしたのは場所が店所ではなくて本社だったこと。店所を強く希望したので残念だった。

研修最終日の決意表明の時、残念を思いっきり前面に出して嘆き叫んだら、上司になった部長から言われた言葉がこれ。あんなに強く希望していたのに残念だよ、いじめてやるぞ。前途多難。

*この動画をみつけて 懐かしくなった

だが、嘆いている時間などなかった。同期3人が一緒に労務課に配属され、まずやらされたことは、このセイノー体操を覚えるということ。体操を覚えて、1日に2回10時と15時に行われる本社での体操時間に、社員の前に出てかけ声をかけるんだ。

それが労務課に所属なった、男の新入社員がやるべき最初の仕事。言うなれば、新人のための儀式

1ヶ月間かけて練習することになっていた。いきなり軍隊に近いようなイメージをもった。音は自分の声だけ。しかも、扉のない社長室の前にマイクを置いてかけ声をかける。社長の姿が曇りガラスの向こうに見えるような、本社2階のど真ん中。

同期3人が互いにライバルだ。誰が一番早く覚えて、誰が最初にデビューするか。先輩たちが見ている。しかもワンフロアの中に、経理や営業や運行など他部署の社員が全員集まっているわけで、新人のデビューについては、皆が一大イベントとして注視している。失敗すれば、すぐに社長からクレームがはいる。

負けてはいられないって気持ちと、絶対に失敗できないという気持ち。必死に覚えた。寮に帰ってからも練習したと思う。1人は同部屋だったから、一緒に復習した気もする。

ちなみ当時はまだ相部屋。本社横の独身寮は、元々4人部屋。当時は2人か3人になっていたが、それでもほとんどの社員が相部屋だった。

教えてくれた先輩の確認をパスした1ヶ月後、いよいよデビューする日が来た。1日2回ずつこなしていく。デビューの順番は話し合いで決めた。自分は3番目で最後。先にやった2人が無事にデビューを果たしたのを見て、3日目の朝を迎える。

10分前にフロアにマイクを立て、10時の体操に備える。席に戻り緊張する気持ちを抑え込み、頭の中で順番を復習する。時間が来た。席を立ってフロアに立つ。右から左まで約100mの中で社員がこちらを見ている。やるしかないという気持ちで武者震い

*こんな状態で箱根の山を越えていた

セイノー体操を始めます!と声を出し、1234とかけ声をかけていく。マイクの前で体操をしながら声を出すわけ。かけ声のテンポを乱せない上、体操を間違えるわけにもいかない。これが仕事をする上での緊張感ってやつか!

約3分ぐらいだったかな。無事に終えて部署に戻った。教えてくれた先輩の表情に安堵が見られた。午後にもう一度行い、その日の新入社員としての儀式を終えた。

今思い出せば、自分がかわいくも思えるが、新人というのはそんなものかもしれない。脇目も振らずに夢中になる。同じように夢中のつもりでも、20代の頃の夢中を再び経験することはない。

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