週に1度の肩のリハビリを終えてから、酒々井町の本佐倉城へ。
目的はいつもと同じ、自然を感じながら歩き回り、陽の光を浴びながら写真を撮ること。「続日本100名城」のひとつに選ばれているにもかかわらず、特に平日は人が少ないということで、自分にとっての憩いの場になっている。
4月からは案内所が開かれた。一年前から建物を建て始めて秋には完成。以前の簡易トイレは撤去され、新たに水洗のトイレが完備され、憩いの場としてもふさわしいイメージになった。
ただ、新型コロナウィルスの影響があったのか、案内所はなかなか開かれなかった。どこにでも置かれているような、観光客向けの記念スタンプだけがトイレの前に置かれていた。その案内所がようやく開かれたわけだ。観光案内のボランティアのような方たちが、5人ほどいた気がする。
驚いたのは、平日にもかかわらず、観光客が多かったということだ。団体客や個人のお客さんが、係の方達に順路に沿って案内されていた。案内所にはコンパクトながらも壁一面に写真や説明文が貼られ、綺麗な冊子まで出来ている。今日は無料だったが、いずれ有料になるかもしれない。出来がいいので得した気分だ。
だが、ひとつ興ざめだったことがある。
雑草がすっかり刈られて、自然のゴルフ場みたいになっていたんだよ。これには、少々がっかりした。昨年も一昨年も、同じ時期にこんな光景を見たことは無い。
日本全国の数多い城跡の中で、続日本100名城のひとつとして選ばれたわけだ。今後の訪問者の増加を見込んで整備したい、その気持ちを、理解できないわけでもない。
でも、自然がしっかりと残されていることにも、意義があったはずなんだ。これから住宅地にでもなるのかな、そんな気持ちにさえなりそうだった。花が咲く場所があるのかな、そう思ったりもした。案の定、春にもかかわらず、花が集中的に咲いている場所は、ほぼ一ヶ所だけになっていた。菜の花は別だけどね。
同じような思いで、写真を撮っていた紳士がいらした。蝶が好きで、この場所で一度しか見たことがないという蝶を追っているらしい。71歳で、交響楽団の副団長をされていらっしゃるとか。一度声を交わして分かれたが、蝶がいそうな場所がひとつしかないとわかり、自分のところに戻っていらした。
こうなると、話が始まってしまう。
およそ1時間以上、青空の下、草むらの中、二人で語り続けた。花と虫、政治と経済、コロナと自粛、田舎と都会、車と仕事など話題は多岐にわたった。自然のど真ん中で2人動くこともなく、話すことに夢中になった。
マスク越しだけど、本当に楽しかった。人とまともに話をしたのは久しぶり。それも圧迫感がない青空の下。誰にも邪魔されることがない。他の観光客がいらしても、案内の方につづいて足早に去っていく。大きいと思えた声も、自然の中にとけていくよう。
自然っていうのは、つくづくありがたい存在だ。願わくば、商業的な根性が、丸出しになるような状況にだけはなってほしくない。自然があるゆえに、国の史跡にもなっていると思いたい。
紳士様から、樹が好きなら、風土記の丘にも行った方がいいと提案をいただいた。ぜひとも行ってみよう。