最近の曲はイントロがかなり短い。10秒も無いような曲も多いようだ。70年代や80年代の昭和の音楽、90年代の平成の音楽が好きな自分からすれば、何とも物足りなさも感じている。当時の音楽を聴きなおすほどに、その気持ちが大きくなることも。なぜかなって考えてみたら、丁度いい番組が放映されていた。
番組の中で、イントロが短くなっているのは、故意に短くしているみたいな答えも聞いた。要は、定額で音楽を聴けるサブスクリプションが全盛になっている今、イントロが長いことは致命的にもなると言う。長過ぎると視聴者がすぐに次の曲に進んでしまって、その曲を聴いてくれなくなる可能性があると言うんだね。
もうひとつ答えがあった。以前は歌番組が多かった。トップテンとかベストテンとか、かなり楽しみにしていたものだ。番組の中で、歌手がインタビューを受けてから歌う準備が必要で、そのためにはイントロが長い方が良かった、そんなことも話していたんだよね。準備のための時間稼ぎには、イントロも長くか。
どちらの答えにせよ、一理あるなとは思った。番組の中での実験のように、最近はイントロが6秒や8秒の曲が多く、中には0秒に近い曲もあった。短ければすぐに詞を聴けるわけで、視聴者もその曲の中に入っていってくれるというわけだ。すべての曲が短いわけではないよ、あくまでも多いって話。
でも待てよ、オフコースにもイントロが短い曲はあったな。
まあ、答えを1 つにまとめようとすれば、こんな感じにもなるんだろう。実際のところ、最近の曲は確かにイントロが短い。だからなんだろうか、平均的にみて同じような曲に聴こえてしまうんだよね。自分だけがそう感じているのかな。いや、そうでもないみたいだよ。同じことを言っている人は、結構いるようだ。
今、日経の夕刊の「明日への話題」というコラムを、アルフィーの高見沢俊彦さんも担当している。先日の記事でこんな話をしていた。最新シングルではイントロは34秒ある。前奏が美味であればあるほど、メインディッシュのメロディや歌詞が生きてくる、だから今後もイントロを短くするつもりはないってこと。
さすがだなって思った。さすが、音楽界の大御所のおひとり。この高見沢さんの言葉の中に、自分が感じていることへの答えもあるように思えた。
あくまでも自分の考えだが、昔の曲は全体を通してドラマチックだったと思う。イントロもAメロもBメロもサビも大サビも、そしてアウトロも、どれも欠けてはいけなかった。どれもが歌全体を構成する大切なパーツだった。イントロはその曲の名刺がわりみたいなもので、イントロが始まればすぐに曲名がわかった。
それが今やイントロ自体があってないようなもの。たまに長いなと思える曲に出会えても、あまりインパクトを感じないんだよ。イントロのこともさることながら、全体的に音が軽く感じられるんだ。詞もどこかで聴いたよう内容が多い。素敵な曲はたくさんあるんだけど、聴き直したくなるのは昔の曲が多い。
自分がその時代に青春をしていたからじゃない。青春なら今でも真っ最中だ。なんだかな、深いんだよね、詞も音も。
TKこと小室哲哉さんが、悪い話でマスコミの話題になったことがある。そういう時のマスコミは、こぞって粗を探すようなことをして記事にする。TKの音楽はつなぎ合わせの音だって言う輩もいた。とんでもない話だ。TMNやTRFやgloveの曲、渡辺美里に書いたMy Revolution、TKには数知れずない名曲がある。
つなぎ合わせの楽曲なら既に飽きていて、20年以上経った今になって引っ張り出してまで聴いたりはしない。TKサウンドが好きでたまらないって人も多いんだ、音楽の世界を混同して考えるようなことはやめて欲しい。Get Wildなんて今聴いたって新鮮だし元気も出てくるよ。イントロを聴くだけでも満足できる。
20年も30年も前の曲が、なんで今も新鮮に聴こえるんだろう。
やはり、全体の作りに人間らしさがあるのかな。作りこまれているって感じるんだ。考え方は人それぞれだろうけど、イントロひとつにも手抜きを感じられない。そして、この人ならではの、このバンドならではのオリジナリティというものが、しっかりと曲に反映されていた気がするんだよね。似てるを感じなかった。
これからの時代は、様々な分野で自動化も進む。機械に任せられるところは任せることになる。そうした時、人はもっと創造の世界を中心に生きることを迫られる。音楽の世界もきっと同じだろう。だからこそ、音楽の才能にあふれる人たちには、つねに人間くさい音の追求を続けてほしい。そういう音楽は必ず、時代を超えて歌い継がれていくと思っている。
「最近の曲は、イントロが短くなった。」への2件の返信
きみさん、こんばんは。
さやかです。
きみさんはサブスクで音楽をお聴きになりますか?
私はCDを買って、ジャケットや歌詞カードも楽しみたいです。
これからはCDの販売は無くなるのでしょうか?
私もイントロがある曲が好きです。
山口百恵さんや岩崎宏美さん、松田聖子さん、中森明菜さんの曲を聴くときはイントロも心の中で無意識に歌ってる時があります。
それだけ、自分の中で印象深いんだと思います。
イントロが短い曲が多いですが、最近はYOASOBIが好きです。
歌声がたまらなく好きです。
これからもTwitterでのきみさんの選曲を楽しみにしております。
さやかさん、こんばんは。
ご丁寧に、ありがとうございます。
音楽に関しては、まだサブスクはしていないんです。
今は休業中ってこともありますけど、FMも流しっぱなしの上、YouTubeで聴きまくれるのでやっていないんです。iPodの中にもたまっているので、必要になったらやりたいです。
動画に関しては、AmazonとNETFLIX、それにバンダイチャンネルはサブスクしてます。
CDは、物販にも必要ですからね、今しばらくはなくならないのでは。
なくなってしまったら、寂しいだけでは収まりそうにないです。
イントロが長いことが、昔の曲だったからとかではなくて、イントロだけでも価値があるような作品の作り方があってもいいと思います。もちろん、イントロがなくても素敵な曲はあります。オフコースの名曲、YES-YES-YESも0.5秒くらいで歌い始めます。でも、それで名曲であり続けていますから、あくまでも今はかなり短くなったってことなんでしょうね。
売りたい売れて欲しいという気持ちは、曲を作る上での大切な要素だとは思います。ただ、アーティスト自身の求める音楽を、一番大切にして欲しいですね。
これからも、素敵な音楽を選んでいきますね。
一緒に、音楽の世界を楽しんでいきましょう。