目が覚めたのは、集中治療室の中。時間はお昼過ぎだったかな。
全身麻酔だったから、体がやけに重く感じた。5年前の時よりも重たく感じたかもしれない。全身麻酔がまだ効いている、久しぶりにだるいって感覚だった。
後から考えてみたら、5年前には集中治療室に入らなかった。病室に戻って、集中的に看護されながら夜を明かしたはずだ。病院のシステムに、国立時代の流れが残っていたのかな。
腕と尿道にチューブがつながっていた。腕には点滴用のチューブが、尿道には尿、つまりおしっこを出すための、排尿をうながすためのチューブがつながっていた。
点滴については、みなさんおわかりでしょう。栄養を注入するためのものだ。翌日の朝までは、食事を口にすることができない。
手術当日の朝からまる一日、食事を口にしなかったことになる。では尿道につなげられていたチューブ、これはなんのため?
全身麻酔をするからなんだ。全身麻酔は強いからね、手術が終わっても、もうろうとしているしね。だから排尿をうながして、勝手に尿がチューブをつたって流れ出るようにしてある。
でも尿道に、いつつなげられたと思う?おそらく、麻酔が効き始めて目を閉じた後かな。じゃあ誰が?看護師さんだろうね、女性のね。つまり、大切なところを見られているわけだ!
まあ、5年前も同じ経験をしているから、今さら驚きはしないけど。ただ今回も思ったことがある。看護師という仕事は、恥ずかしい気持ちがあったら、一人前にはなれないってことだ。
仕事を時間内に、機械的にこなして行かなければ、生命を危うくさせることもある。大げさに話してるんじゃない、本当なんだ。
尿道にチューブを入れるのだって、上手くやらなければ、患者さんが痛がるんだから。性器をつかんで手際よくやらないと、手術も進まないってことさ。
この人の性器が大きいとか小さいとか、普段なら冗談にもなるだろうけどね。その時はただ、つかんで上手に刺しこむだけだ。お蔭様で今回も痛みはなかった。
看護師さん、本当にありがとう。